M女の隠れ家                                            <小説 淫虫−7>


第7話  動き出す

奈津美が昭の求めに応じて、昭の目の前で服を脱いでいく。
そんな姿をこれまでに奈津美は一度も見せたことはなかった。
むしろ、脱ぐところを見られるのを恥ずかしがって、別の場所で脱いでいたほどだ。
それが今、昭の目の前に立ってブラウスを脱いでいる。
脱ぎ終わったブラウスは、横のテーブルの上に軽く畳んで置いた。
次はスカートだ。
ウエストのホックを外し、ファスナーをゆっくりと下げた。
片足を曲げて、スカートをつま先から脱ぎ去った。
さっきのブラウスの上にスカートを置いた。
その一連の動作を、昭は無言で食い入るようにして眺めている。
まるでストリップショーを見ているかのような錯覚に陥っていた。
観客は自分ひとりだけの、秘密のストリップショーだ。
音楽はスローテンポな曲がリビングのDVDから流れていた。
イヤリングや他のアクセサリー類も外して、奈津美はとうとうショーツとブラジャーだけになってしまった。

「いいぞ、とてもいい姿だ」
昭の目の前に薄いピンクのTバックのショーツとお揃いのブラジャーだけの姿で、立たされている奈津美に昭は声をかけた。
奈津美のストリップショーを目の前で見ていた昭の中で、これまで静かにしていたS性が今覚醒した。
奈津美のM性が目覚めたのに反応するかのようにして、昭のS性が揺り動かされたのだ。
昭の中でS性が動き出しいている。
「もっと奈津美をいじめたい・・・」
そんな思いが湧きあがってきた。
元々、それなりにSの素質を持っていた昭が、Mの素質を持っていた奈津美を好んだといえるかもしれない。
奈津美のほうが先にM性に目覚め、それに呼応するかのようにして昭のS性が目覚めていったのだ。
目覚めてしまったS性は、もうそのうごめきを止めることはない。
さらに奈津美のM性に刺激され、また奈津美のM性は目覚めた昭のS性に応えるかのようにして、お互いがお互いを刺激し合って高まっていく。
奈津美は昭の目の前で恥ずかしい姿になっていることに、自らのM性が高まっていくのを覚えた。
「辱められたい・・・」
そんな思いが身体の奥から湧きあがってくる。
ゾクゾクするような感覚が身体の奥に感じられ、奈津美は自分の変化に戸惑いながらもその思いを止めることができなかった。
「いやらしい自分の姿を見られたい」
普段なら決して人には見られたくないような姿を、今は男の人に見られることを望んでいる。
こんな矛盾した思いが奈津美の心の中を掻き回している。
めまいがするような快感が、奈津美の頭の芯をしびれさせていく。
「ああぁぁ・・」
昭の目の前でストリップショーを演じていることで、奈津美は快感の波に飲まれていきそうになり、つい声を漏らしてしまった。
身体の奥から湧きあがる快感を抑えることができなくて、自分の意思とは関係なく勝手に腰が動いてしまう。
クン・・クン・・とピンク色のショーツに覆われた奈津美の腰が後ろに引けて、いやらしい動きを見せている。

きちんと立っていることもできない、そんな奈津美のみだらな姿に昭の興奮はさらに高まっていった。
「いやらしい腰の動きだな、奈津美」
いつもの声とトーンとは微妙に違うことに昭自身も少し違和感を覚えながらも、まんざら悪い気もしない。
S性が目覚めたことで、昭の声に微妙な変化が現れ始めているようだった。
普段、昭を知っている人たちには、この声に特段の変化は感じられないだろうが、M性を持っている女性には、その微妙な変化をはっきりと認識できることだろう。
奈津美も、昭の声がいつもの昭とは違うことをすぐに感じ取っていた。
「いゃ・・・」
昭の声に奈津美の身体が反応している。
その身体のいやらしい反応に、奈津美の理性がまだ拒もうとしていた。
奈津美の手が薄いピンクのショーツとブラジャーだけになった身体を隠そうとして、股間と胸を覆うように動いた。
奈津美の姿を後ろから見ることが出来たならば、きっとTバックのショーツからはみ出た奈津美の丸いお尻が、いやらしく動く様子を昭は目にすることができただろう。
理性が恥ずかしさを感じながら、身体はその快感に反応して動いていく。
理性と身体とが、せめぎ合っているのだ。
昭は、スボンのベルトを外してファスナーを下げ、その間からペニスがそそり立っているまま、奈津美のストリップショーを眺めていた。
ペニスがドクンドクンという心臓の鼓動とともに、ビクンビクンと動いている。
昭の興奮状態は、そのペニスの動きを見ていれば分かる。
奈津美は昭のペニスを目にしながら、そのペニスの動きは自分の恥ずかしい姿によるものだということを自覚していた。
その自覚で、さらに奈津美は両手で身体を隠そうとした。
スラリとしたスタイルのいい奈津美の身体が、少しでも小さくなって手で隠れるようにしたいと願っているかのように、奈津美はその身体をすぼめるようにした。
昭は奈津美のその動きを見て、もっと奈津美を辱めたいという衝動を抑えることができなかった。
ソファからスクッと立ちあがった昭は、その場で自らズボンと下着を脱いで下半身は裸になった。
ソファの前で立っている昭の股間には、ペニスが大きく斜め上を向いて突き上がっている。
奈津美はそれを見て、ふと目を伏せた。
「いじらしい」
昭は、奈津美のその仕草に女としての反応の仕方を感じた。

奈津美をもっと辱めるにはどうしたらいいだろう。
両手で身体を隠している奈津美を見ながら、昭はそんなことを考えた。
「そうだ」
昭は何かを思いついて、自分の4、5歩前に羞恥で悶えるかのようにしてTバックのショーツとお揃いのブラジャーだけの姿で立っている奈津美に歩み寄っていった。
昭の股間にそそり立っているペニスは、歩くたびにブルンブルンと上下に揺れた。
奈津美の前まで来た昭は、無言で奈津美のピンクのTバックのショーツに手をかけ、奈津美の腰から太ももあたりまで引き下げた。
「いやっ」
咄嗟の反応で、奈津美は両手を交差するようにして自分の股間を隠し、身体を前に屈めた。
奈津美の髪が前に垂れ、顔が見えなくなった。
昭は、ゆっくりと元のソファに戻って、奈津美が羞恥に悶える姿を眺めることにした。
「ショーツはそのままだ。分かったな?」
昭は、声のトーンが今は明確に変わっていることを意識しながら、奈津美にいった。
「・・・・・・」
奈津美は、昭の声に答えることもせず、ただ身体を丸めてじっと固まっている。
両手で股間を隠し、身体を屈めている奈津美の姿を見ていて、昭は奈津美の身体がいつもと違うことに気づいた。
両手で隠しているとはいえ、少しは見えるはずの黒い陰毛が見えないのだ。
どういうことだ?
奈津美の身体の変化に、昭は戸惑いと疑問を感じた。
「身体を起こせ」
昭は奈津美に、さらに命令口調でいった。
「・・・・・」
奈津美は声を出すことなく、しばらくそのまま固まっていたが、やがて昭の命令のとおりにゆっくりと屈めていた身体を起こしていった。
身体を起こしても、まだ顔はうつむいたままで床の一点を見ているかのようだ。
髪が顔の前に垂れて、表情を分かりにくくしている。
「もっと、ちゃんと身体を起こして」
昭の声のトーンが、はっきりと変化している。
「はい・・・」
奈津美は、つい昭の声のトーンに押されるかのようにして、返答した。
奈津美はその身体を起き上がらせてから、頭を少し振って髪を後ろにそらした。
顔が見えるようになった。
いつもの奈津美の顔のはずだが、今の昭にはまるで幼児のように可愛いと感じる顔立ちに見えた。
目を奈津美の股間に移すと、両手でしっかりと股間を隠しているが、その両手の隙間から見えてもいいはずの黒い陰毛が見えない。
「奈津美、隠している手を除けろ」
奈津美はその声には反応せず、じっとそのまま股間を隠し続けている。
見せたくないという奈津美の意思が伝わってくるかのように両手には力が込められていた。
股間にくっついているかのようなその両手を、昭は力づくで引き剥がしたくなるような衝動を覚えた。
「両手を腰の後ろに回せ」
そんな衝動を声に込めて、昭は奈津美にいった。
その声に負け、奈津美はおずおずと手を股間から離していく。
ゆっくりと、まるで手が迷っているかのようなのろい動きで、奈津美の両手が腰の後ろに回されていった。
ソファに座ってペニスを突き立てている男の目の前に、両手を腰の後ろに回してショーツを太ももまで下げられたスタイルのいい若い女が立っている。
そんな図だ。
若い女は恥じらいのあまり、両膝の皿が擦れるほどに力を込めてくっ付けている。
昭は、奈津美のそんな姿をまじまじと眺めて、股間にあるはずの陰毛がないことに疑問を感じている。
両膝を擦りつけるほどに足を閉じているとはいえ、陰毛のない股間には少しだけ割れ目が見えている。
「どうしたんだ?」
「陰毛は?」
昭は、奈津美に質問した。
奈津美が昭の質問に答えるまでには、しばらくの間があった。
奈津美はかすかにその髪を揺らしてから
「自分で剃りました」
と、小さな声で答えた。